オーストラリアで出会える動物たち ~ コアラ編
コアラ(Koala)は、野生ではオーストラリアでしか出会うことのできないオーストラリアの固有種の動物です。
科学的にはPhascolarctos cinereusという名前で、非常に愛らしい外見と、ユニークな食性が特徴です。
オーストラリア旅行において、「コアラを見る」は大きな目的の一つになるのではないでしょうか。クイーンズランド州など一部の州に限られますが、動物園でコアラを抱っこして写真を撮ることは、オーストラリア旅行の外せないアトラクションの1つと言えます。
本稿ではそんなオーストラリア観光の人気者であるコアラについて、オーストラリア在住14年目の現地スタッフがご紹介させていただきます。
コアラの生態
コアラの種類
コアラはオーストラリアにしか生息していないオーストラリアの固有種の動物です。
科学的にはPhascolarctos cinereusという名前で、非常に愛らしい外見と、ユニークな食性が特徴です。
お腹に袋のある動物で、哺乳類の中では一般的に有袋類と呼ばれています。
「コアラは全部一緒」と思われている方も多いと思いますが、実は、彼らは2種類に大別されます。ひとつは小型で毛が明るい灰色をしている北方種と、大型で毛が濃褐色のビクトリア種です。
ケアンズやゴールドコーストの動物園で見られるコアラの多くは北方種、シドニーやメルボルン、パースの動物園で飼育されているコアラの多くはビクトリア種です。
野生の場合はそれぞれ生息している場所が違います。
コアラの語源
コアラはアボリジニ語で「水を飲まない」を意味しています。
コアラはユーカリの葉しか食べない動物です。それも、何百種類とあるユーカリの中で、約50種類のユーカリしか食べません。
ユーカリの葉の成分の半分は水分なので、コアラは水を飲まなくてもこのユーカリの水分だけで生きていくことができます。
ユーカリの葉には毒素を含む油分があり、一般的な動物はこの毒素を自身で分解することができません。
しかしながら、コアラの肝臓にはこの毒素を分解できる酵素があり、ユーカリを食用の植物とすることができます。
コアラはユーカリの葉を一日に400グラムから1キログラム食べます。
つまり、多いコアラでは500ミリリットルもの水分を1日で摂取していることになります!
コアラのお腹の袋の秘密
コアラは一度の出産で子供を1匹生みます。
妊娠期間はおよそ35日で、体長2cm、体重0.5グラムほどの未熟児を生みます。これは、多くの哺乳類は妊娠すると胎盤が形成されますが、有袋類であるコアラの胎盤は原始的で、胎児を長期間育てることができないことによります。
生まれたばかりのコアラは目も見えず、毛も生えていません。彼らは生まれるとすぐに前足を使って母親のお腹を這い上がり、母親の袋(育児嚢)に自ら入り込みます。
それから半年から1年ほどの期間、育児嚢の中にある乳首から乳を飲んで成長していきます。赤ちゃんコアラが袋から落ちないように、母親は袋の口を自分の意思でしっかりと締めることもできます。
成長した子コアラは、袋から顔を出し、母親のフンを食べるようになります。実は、このフンの中にユーカリの葉を消化するのに必要なバクテリアや酵素が含まれていて、それを受け継ぐことによって、代々コアラはユーカリの毒素を分解できるようになります。
余談ですが、ユーカリの葉には制菌作用の強い成分か含まれているため、コアラに虫がつくことは滅多にありません。
コアラの特徴
コアラは栄養価の低いユーカリの葉しか食べないので、新陳代謝が非常に遅く、体力を温存するために1日に18時間から20時間も木の上で眠っています。
コアラの前足には、親指に当たる指がふたつあり、残りの3本と対になったつくりになっています。この独特の構造と強い握力と筋力で木の枝をしっかりと掴み、寝ている間にも彼らは木から落ちることはありません。生物学的にも、こういった指の配列を持った動物は、コアラ以外には確認されていません。
のんびりした印象が強いコアラですが、実は、本気を出すと地上で走ることもできますし、いざとなれば泳ぐこともできます。
コアラ基金
オーストラリアの野生のコアラを保護し効果的な対策を講じるために発足した非営利のコアラ団体がAKF(Australian Koala Fundation)です。
もともとのコアラの生息地の8割がヨーロッパ人の入植開拓によって失われ、残りの2割の土地の大部分も現在ではデベロッパーの所有地となっています。
また、かつてコアラは安価な毛皮製品の材料として大量に捕獲輸出され、1900年代初頭には絶滅の危機に瀕していました(絶滅危惧種には指定されていない)。
そこで、1986年にコアラ基金が発足し、コアラの生息分布や生態についての正確な調査が行われるようになりました。
現在では、コアラ保護のための科学的根拠に基づいた保護運動など様々な活動を行なっています。
年々観光客の方をターゲットにしたコアラ抱っこ写真に関する規制が厳しくなっているのも、同基金の運動の及ぼす影響が大きく反映されています。
→Australian Koala Fundationについての詳細はこちらのリンクをご覧ください
コアラが見られる動物園とコアラ抱っこができる動物園
コアラを抱っこしての写真撮影は、一生の思い出になること間違いなしです。
上述の通り、コアラの抱っこ写真については動物愛護の観点からも規制が厳しくなってきていますが、2020年現在、コアラ抱っこの写真撮影ができる場所は、クイーンズランド州、南オーストラリア州、西オーストラリア州の3州です。
シドニーのあるニューサウスウェルズ州とメルボルンのあるビクトリア州では残念ながらコアラの抱っこ写真をお撮りいただくことはできませんのでご注意ください。
また、西オーストラリア州の州都パース近郊にあるカバシャム動物園でもコアラ抱っこ写真のプログラムは行われていません。
クイーンズランド州のケアンズでも、確実に抱っこ写真ができるのは、ケアンズ市内にあるワイルドライフドームのみとなりますのでご注意ください。
コアラ抱っこ写真については以下の記事をご参照ください;
コアラを野生で見られる場所
野生のコアラはもちろんオーストラリアに生息しています。
動物園ではなく、自然のコアラの姿を見てみたいという方は、運が必要なのでなかなか難しいのですが、遭遇率が高いと言われる以下の2箇所でチャレンジしてみてください。
ケネットリバー(メルボルン郊外)
ケネットリバーは、グレートオーシャンロードにある、野生のコアラを観察できるポイントとして知られており、グレートオーシャンロードのツアーの行程にも多く含まれています。
コアラだけではなく、季節によってはビーチから南氷洋に生息するクジラ、イルカなどを観察できることもあります。
→メルボルン発着野生のコアラに出会えるツアーはこちらのリンクをご覧ください
マグネチック島
マグネチック島はケアンズの南350kmの位置にあるタウンズビルという街の沖合8kmにある52平方キロメートルの島で、多くの野生のコアラが生息していることで有名な島です。
残念ながらマグネティック島を訪れるツアーは催行されていません。
島にはトレッキングコースが整備されており、ハイキングの途中で野生のコアラを見かけることが頻繁にあります。
ご興味がお有りの方は、タウンズビルの港からフェリーにてマグネティック島へお越しください。
→タウンズビル発マグネチック島行きフェリーMagnetic Island Ferry社ウェブサイト
カンガルー島
カンガルー島は南オーストラリア州 の州都アデレードから南西へ112 kmの場所に位置する、アデレードを訪れるオーストラリア内外の観光客に大人気の観光地です。
カンガルー島の3分の1が国立公園に指定され自然は厳格に保護されており、特に島のいたるところで目撃される、カンガルー、ワラビー、コアラ、アシカ等の野生動物がカンガルー島を訪れる観光客に人気です。
カンガルー島には元々コアラは生息していませんでしたが、自然保護活動家がオーストラリア大陸本土のコアラの減少を補うために、1920年代にカンガルー島内のフリンダーチェイス国立公園に18頭のコアラを放ちました。
その後急速にカンガルー島内のコアラの生態数は上昇を続け、一時期は48,000頭までコアラは増え、島内に増えすぎたコアラによる他の動植物に対する弊害も発生し問題にもなっていました。
しかしながら、2019年から2020年の夏季にカンガルー島にて大規模なブッシュファイヤーが発生し、残念なことに多くの野生のコアラの命がこのブッシュファイヤーによって奪われ、2020年の調査では8,500まで減少したとされています。
過去にも減少と増加を繰り返してきていますので、またきっとカンガルー島は再びコアラの楽園となるでしょう。
カンガルー島で確実に目撃するには、ハンソン・ベイ・ワイルドライフ・サンクチュアリを訪れるか、ビボンヌ・ベイからの2 時間のコアラ ウォーキング ツアーに参加すると良いでしょう。
→ カンガルー島観光の完全ガイド - 行き方、見所、ツアー紹介
コアラに関するよくある質問(FAQ)
コアラはオーストラリア全域の動物園で飼育されています。
1日に20時間も眠る動物なので、活発に起きて行動しているコアラを見るためには運が必要です。
弊社トラベルドンキーで紹介している動物園では、全ての施設でコアラを飼育していますので、ぜひ、ご参考ください。
コアラ抱っこの写真撮影は、クイーンズランド州、南オーストラリア州、西オーストラリア州の3州の動物園で可能です。
シドニーのあるニューサウスウェルズ州とメルボルンのあるビクトリア州では残念ながらコアラの抱っこ写真をお撮りいただくことはできませんのでご注意ください。
西オーストラリア州の州都パース近郊にあるカバシャム動物園では、西オーストラリア州内ではありますが、コアラ抱っこ写真のプログラムは行われていませんのでご注意ください。
抱っこ写真が認められている上記3州でも、コアラの体調や来客数によって、セッションが制限されることもありますので、予めご了承ください。
観光でオーストラリアにお越しの方は、以下の2箇所で野生のコアラを見られるチャンスがあります。
一つ目は、ケネットリバーです。ケネットリバーは、グレートオーシャンロードにある、野生のコアラを観察できるポイントです。当地はグレートオーシャンロードのツアーの行程にも多く含まれています。
二つ目は、マグネティック島です。マグネティック島は、ケアンズの南350kmにあるタウンズビルという街の沖合8kmに浮かぶ52平方キロメートルの島で、多くの野生のコアラが生息していることで有名な島です。島のトレッキングを楽しんでいただいている際に、野生のコアラに出会うことがよくあります。
オーストラリアの旅行手配
トラベルドンキーでは、オーストラリアのオプショナルツアー(現地発着ツアー)やアクティビティのご紹介やご予約を承っています。
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