オーストラリアの果物・フルーツ ~広い国土で産出される様々な果物・フルーツ
オーストラリアの果物、フルーツについてご案内いたします。
オーストラリアの広大な国土は様々な気候区を有しています。そのため、地域の気候を活かしながら色々な果物が栽培されています。
オーストラリアのフルーツは、日本でもおなじみのリンゴ、ブドウ等フルーツから、日本ではあまり見ることのできない、ドラゴンフルーツ、パッションフルーツなどトロピカル・フルーツまで、スーパーマーケットに行くとその種類の豊富さに目を奪われます。
一方、オーストラリアの人口は約2,500万人と極端に少なく、国内市場には限りがあるため、多くの果物が海外に輸出されています。
以前は日本に輸出されることはあまりありませんでしたが、最近はオーストラリア産のブドウ等が日本へ輸入されています。
本稿では、そんなオーストラリアの果物・フルーツに焦点を当て、オーストラリア図鑑の一頁に加えたいと思います。
オーストラリアで栽培される主なフルーツ
広大な国土と多様な気候の中で、オーストラリアでは多品目の作物が栽培されています。
オーストラリアでは、約70パーセントの果物が温帯地域(Temperate regions)で生産されています(上図表)が、品種改良や技術革新などにより、生産地は年々拡大しています。
オーストラリアでの主な果物の栽培地域は、下地図のとおり、①クイーンズランド州の沿岸地域と北部高原地帯、②ビクトリア州のゴウルバーンバレー/ニューサウスウェールズ州のマランビジー灌漑地域/ビクトリア州との州境付近のサンレイシア地区、③タスマニア州北部、④サウスオーストラリア州のリバーランド一帯、⑤ウェスタンオーストラリア州南西部です。
これらの地域は水源が豊富で肥沃な土壌を有しています。気候の違いなどから栽培される作物は各州で異なり、例えばクイーンズランド州ではバナナやマンゴー、パイナップルなど、また、冷涼なタスマニア州ではリンゴやチェリーなどが特産となっています。
その他にも、気候区に合わせて様々な果物が栽培されていますので、以下にてご紹介いたします。
ブドウ
オーストラリアの果物で、最初にご紹介したいのがブドウです。
ただし、これは食べるブドウではなく、飲むブドウ、つまりワインになるブドウです。
オーストラリアは世界的にも有名なワインの産地で、特に南部の冷涼地に有名なワイナリーが点在しています。このワインの素になるのがブドウです。オーストラリアの土壌と気候の下では、濃くて力強いシラーズ種やカベルネソービニオン種の赤ワインになるブドウの栽培が盛んです。その他に、セミヨン種やシャルドネ種の白ワインになるブドウも作られています。
オーストラリアワインにつきましては、下記の記事で詳述していますので、是非、ご参照ください;
もちろん食用のブドウも栽培されていますが、同じくブドウは涼しい地域で作られますので、オーストラリアの南部、南緯40度くらいのエリアにブドウ畑が集中しています。
日本へのブドウの輸出も行われており、出荷時期は2月から5月頃となっています。
主にビクトリア州で栽培されているトンプソンシードレス種やクリムゾンシードレス種、レッドグローブ種などが輸出されています。近年、甘くて美味しいとの評価を得ており、今後さらに消費量が増える見込みです。
バナナ
バナナはクイーンズランド州北部の特産品です。
広大なバナナ畑がどこまでも続いている景観は、広大な大陸オーストラリアを実感させてくれます。
日本では、9割以上のバナナがフィリピンからの輸入品で、主に沖縄産の国産バナナを手に入れるには骨が折れますが、オーストラリアではバナナは100パーセント国産です(海外から輸入されていないので、オーストラリア国内で外国産のバナナを購入することは出来ません)。
日本(フィリピン)のバナナに比べると、さっぱりとした味わいのバナナがオーストラリアのバナナだと思います。
品種も、日本でも一般的な長いバナナであるキャベンディッシュ種の他に、レディースフィンガーやシュガーバナナと言った、あまり日本では馴染みのないバナナも一般的に販売されています。
マンゴー
マンゴーはクイーンズランド州の北部で栽培されている果物で、オーストラリアの特産品です。
11月から2月頃が収穫のシーズンとなり、日本を含め世界各国に輸出されています。
日本に輸出可能なマンゴーは、Vapor Heat Treatment(蒸熱処理)を施されたものに限られており、上品な甘みで高級品であるケンジントン種とケイト種が主に日本に輸出されています。
リンゴ、ベリーなど
タスマニア島は、オーストラリアの南東部メルボルンの沖に浮かぶ北海道と同じほどのサイズの島で、主にリンゴやベリーなどが栽培されています。
冬の寒気の後に穏やかな気候が続くタスマニア島は、これらの果物の成長に最適な場所となっています。
国内市場は限られているので、主に輸出用の果物が栽培されています。
日本では検疫の都合、オーストラリアからのリンゴの輸入についてはタスマニア産のみ許可されています。
特に、ベリーの生産については、タスマニア島は世界で一番栽培に適した場所であると評価されています。
北半球とは逆転した季節供給は、明らかにタスマニア島の農業に大きなメリットとなっています。
メロンなどの通年栽培への取り組み
日本とオーストラリア間の果物を介する関係で、今最も注目を集めているのが、メロンなどの高級フルーツの通年栽培実験です。
アジアの富裕層をターゲットに、日豪間の場所、人材、技術を相互提供し、両国の季節の逆転を利用して年間を通した農産物の生産出荷を可能にするような仕組みを模索しています。
プロジェクトは既に始まっており、クイーンズランド州北部のエアーでメロンの試行栽培を行なっています。
オーストラリア側は土地や栽培ハウスを提供し、日本側は福岡県などから民間の生産者を派遣し、技術提供と人材育成にも取り組んでいます。
今後は、クイーンズランド州の他の地域でも、イチゴの栽培などを想定し、通年栽培を広げていく方針です。
オーストラリア産の品種に日本式の栽培技術を組み合わせた場合に、アジア輸出時の充分な品質や糖度が保てるかどうかが今後の課題となっています。
オーストラリアの果物農業生産と国外輸出
オーストラリアは広大な国土を有するものの、国内市場が小さいことにより農作物の輸出依存度が高くなっています。
GDPに占める農業分野の割合は3パーセントほどで、農業従事者は全人口のうちの約4パーセント、総輸出額に占める農林水産物の割合は20パーセントほどにもなっています。
オーストラリアは、サプライチェーン全てにおいて、厳格な規準を設けていますので、世界各国から品質の良さについて高い評価を得ています。
毎年の農業生産額は580億ドルほどで、輸出総額は約450億ドルとなります。その中で、生産額の上位を占める果物は、ブドウ・バナナ・リンゴ・オレンジ・イチゴ・メロンなどです。日本向けに主に輸出されている果物には、マンゴー、ドライレーズン、チェリーなどがあります。
主要131ヶ国における果物の生産量の世界ランキングを見ると、オーストラリアの果物の生産量は以下の順位となっています。
統計を鑑みると、国内産業における市場占有率と生産量の実際の数字には、人口の少なさを反映した乖離を実感します。
しかし、オーストラリアの経済成長とともに、絶対的な生産量と輸出額は着実に増加の一途を辿っています。
オーストラリア国内スーパーマーケットでの果物の販売
オーストラリアの果物は、もちろんスーパーマーケットで販売されています。
各スーパーマーケットの一番最初の売り場にフルーツがたくさん並べられていることからも、オーストラリアでは果物がとても人気であることが窺い知れます。
ここでは、オーストラリアのスーパーマーケットで売られている主な果物について、ご紹介いたします。
*尚、スーパーマーケット店内での写真撮影は原則禁止されていますが、本稿に掲載している写真は責任者の許可を得て撮影しています。
マンゴー
マンゴーはオーストラリアの特産品のひとつで、広く海外に輸出されていますが、もちろん国内でも販売されています。
特に、クイーンズランド州北部(ケアンズなど)のスーパーマーケットには、表面に少し傷があるだけで厳しい輸出規定の審査から漏れてしまったようなマンゴーが格安で卸されており、例えば、日本でひとつ3,000円するようなマンゴーが、$2ほどで売られています。
高級品種であるケンジントン種やR2E2種などのマンゴーが特にオススメです。
ただし、マンゴーはウルシ科の植物であり、アレルギー反応を引き起こす恐れがありますので、アレルギー体質の方はくれぐれもご注意ください。
マンゴーのシーズンは11月から2月頃となります。
リンゴ各種
オーストラリアの果物で、筆者が個人的にオススメなのがリンゴです。日本のリンゴよりも小振りなのが特徴です。
近年、日本のリンゴは品種改良(改悪?)され過ぎてしまい、リンゴ本来の力強い酸味を伴ったものがなかなか手に入らなくなってしまいましたが、オーストラリアでは昔ながらの濃厚で酸味強く噛り付けば歯茎から血が出るような硬いリンゴが一般的です。
是非、オーストラリアにいらっしゃった際は、子供の頃に日本で食べたあのリンゴを思い出しつつ、オーストラリアのリンゴをお試しください。
尚、オーストラリアのリンゴにはたくさんの品種があり、スーパーマーケットでも様々なリンゴが販売されていますので、ここでは、筆者のオススメをご紹介いたします。
ピンクレディ
ピンクレディは、オーストラリアで最も人気のあるリンゴで、酸味と甘み、果肉の歯ごたえのバランスが大変秀逸な品種です。
価格は多品種に比べて若干高いですが、それだけの価値があるリンゴだと思います。
ジャズ
ジャズは、甘みの強いリンゴで、子供に人気があります。
食感はピンクレディよりやや柔らかく、歯の悪い高齢者にも人気の品種です。
お菓子作りやジャムなどに加工するのにも適した品種です。
ロイヤルギャラ
ロイヤルギャラは、果肉の繊維が強く、甘みも充分な品種です。
ピンクレディよりも価格的に安く、大衆的なリンゴと言えます。
ただ、痛みが早いのが難点ですので、購入後はなるべく早めにお召し上がりください。
グラニースミス
グラニースミスは酸味の強い青リンゴです。
擦り下ろして料理に加えるのには最上の品質です。
もちろんそのまま召し上がっていただいても、昔ながらの酸っぱいリンゴの味がして、日本人の方を懐かしい気分にしてくれるものと思います。
バナナ
バナナはケアンズの近郊が主な産地で、オーストラリアを代表する果物と言えます。
日本でもお馴染みの細長いバナナ(キャベンディッシュ種)が一般的で、通年スーパーマーケットで売られています。
日本(フィリピン)のバナナに比べると、残念ながら甘みが少なく、ジューシーとは言い難い味わいですが、さっぱりとした素朴なバナナという点で、是非一度お試しいただければと思います。
原則、オーストラリアではバナナは海外から輸入されていませんので、オーストラリア人がバナナと言うと、この味ということになります。筆者個人的には、フィリピンのあの濃厚なバナナをオーストラリア人が食べたとき、どんな反応をするのか大変興味があります。
それくらい、日本で出回っているバナナとは、味や食感が違いますので、オーストラリアのバナナをお試しになることを海外旅行の楽しみのひとつにしてみてくださいね!
ネーブルオレンジ
ネーブルオレンジは、日本で販売されているネーブルとほぼ同じです。
主に冬場に出回るもので、ビクトリア州産のものが多くなっています。
オーストラリアで一番一般的な柑橘類と言えば、このネーブルオレンジとなり、ホテルの朝食バフェなどでもよく見掛けます。
グレープフルーツ
グレープフルーツは、近年の日本では人気がなくなってしまい、スーパーマーケットで見掛けることもほとんどなくなってしまいましたが、オーストラリアではまだまだ顕在です。
酸味は極めて強く、朝食に召し上がっていただければ、すぐに目が覚めます!
ウォッカにグレープフルーツを絞って炭酸水で割って飲むのもオススメです。
イチゴ
イチゴはオーストラリア全土で栽培されており、基本的に地元のイチゴが各地のスーパーマーケットで販売されています。
日本のイチゴに比べると、粗雑な味で、甘みも香りも正直イマイチと言ったところで、生食には適しません。
ジャムなどに加工して召し上がっていただくのがオススメです。
イチゴだけは、日本のイチゴが如何に甘くて美味しいものであるか、毎年実感します!!
ブドウ
ブドウは様々な品種のものがスーパーマーケットで手頃な価格で売られています。
スーパーマーケットには年中ブドウが並べられていますが、旬は2月から5月頃となります。
ビクトリア州産のトンプソンシードレス種やクリムゾンシードレス種がオススメです。
ワインの本場であるオーストラリアのブドウは、果実の甘みが濃厚で、程良い酸味は研究開発の末に辿り着いた傑作であると思います。
オーストラリア産のブドウは、一定数が日本にも輸出されていますが、高級品扱いとなるため、なかなか家庭の食卓に並ぶことはないかと思います。
是非、オーストラリア旅行にいらっしゃった際には、お試しください。
チェリー
チェリーはオーストラリアでも人気の果物で、甘みも充分、オススメのフルーツです。
旬の季節が短く、オーストラリアのスーパーマーケットに出回るのは、1月前後です。
日本にも同じ頃に輸出されていますので、日本のスーパーマーケットで見掛けることも多いかと思います。
ベリー各種
ベリーはオーストラリアでは大変人気の果物で、スムージーに加えたり、筋トレの後にプロテインとともに食べたりします。
産地も広く、ビクトリア州、ニューサウスウェールズ州、サウスオーストラリア州などで生産されています。
ラズベリー
ラズベリーはやや酸味の強いベリーで、ケーキ作りの際にも人気があります。
ブルーベリー
ブルーベリーは甘みがあり、また栄養価も高いため、エクササイズ後のアスリートに人気があります。
スムージーに加えると、一味変わりますので、是非、お試しください!
モモ
モモにはオーストラリアでも黄桃や白桃があり、価格もまちまちです。
日本のモモに比べると小振りですが、上品な甘みはしっかりとしており、老若男女ともに人気のフルーツです。
カンタス航空の長距離国際線のお菓子コーナーに、このモモが並べられることもあるほどオーストラリアでは一般的なフルーツでになっています。
筆者のオススメは、白桃です。価格的にも日本で購入するよりも、若干お得です!
アプリコット
アプリコットは11月から2月頃までスーパーマーケットに並ぶフルーツで、意外と知られていませんが、日本語で言う杏(アンズ)です。
あまり食べなれない果物だと思いますが、何とも形容し難い独特の味が癖になります。
良く冷やして召し上がってください。
パイナップル
パイナップルは、主にクイーンズランド州で栽培されており、酸味は弱く甘みが強いのが特徴です。
通年スーパーマーケットでは売られていますが、やはり甘みが強くなるのは夏の時期です。
ベストシーズンのオーストラリアのパイナップルは、他国のパイナップルを凌駕する味わいだと思います。
ただし、マンゴーとともにアレルギー反応を引き起こしやすい果物ですので、賞味の際にはご注意ください。
パッションフルーツ
パッションフルーツは、日本ではあまり馴染みのない果物かと思いますが、オーストラリアでは非常に身近なフルーツのひとつです。
半分に割ってみると、黄色いタネが詰まっており、これをスプーンで掬って召し上がっていただきます。
プツプツとした食感が心地よく、酸味の中に甘みが宿る、独特な果物です。
主に、クイーンズランド州が産地となっています。
ココナッツ
ココナッツは果物ではありませんが、スーパーマーケットのフルーツコーナーでよく売られているので、番外編としてご紹介いたします。
クイーンズランド州北部やノーザンテリトリーの沿岸地帯で採れたココナッツは、全豪のスーパーマーケットで購入出来ます。
穴を開けて中のジュースを飲んでみたり、カレーに加えてアジアンカレーを作ってみたりと用途は万別です。
健康にも良いとされるココナッツを是非お試しください!
【コーヒーブレイク】ココナッツは果物ではない理由
余談ですが、ココナッツは一般的に果物ではないとされます。
果物とは果肉のことを指し、その果肉の中に種子が詰まっています。
しかしながら、ココナッツは種子そのもので、ココナッツそのものから発芽します。
従って、分類上、ココナッツは果物ではないということになるそうです。
トロピカルフルーツのメッカはグレートバリアリーフでお馴染みの熱帯ケアンズかと思います。
下記リンクで、ケアンズのフルーツについてご紹介しておりますので、是非、ご参照ください。
主な参考文献
Rosemary Pashley "Geography"(Excel HSC 2019 Edit.)
Encyclopedia of the Nations "A Complete Source for Detailed Information about One hundred ninety three countries in the World"(the Latest Edit)
Alan P. George "DECIDUOUS FRUIT PRODUCTION IN AUSTRALIA" (Queensland Horticulture Institute 1999)
The Australian Trade and Investment Commission
Agricultural Commodity Statics Australia
GLOBAL NOTE 国際統計データソース
オーストラリアの旅行手配
トラベルドンキーでは、オーストラリアのオプショナルツアー(現地発着ツアー)やアクティビティのご紹介やご予約を承っています。
オーストラリアを知り尽くしたオーストラリア在住のスタッフがご対応しておりますので、正確な情報や的確なアドバイスをご提供させていただくとともに、到着フライトの遅延・欠航など緊急時における迅速な対応も可能となっております。
オーストラリア旅行を計画中の方は、是非ともトラベルドンキーのご利用をご検討ください。思い出深い素敵なオーストラリア旅行のお手伝いをせていただきます。
お得な現地発ツアーとアクティビティ
トラベルドンキーは、海外の各都市から出発・催行されるツアーを取り扱う、海外現地ツアー専門サイトです。
オプショナルツアーと一般的に呼ばれている、日本語ガイドの付く日帰りツアーの他、英語ガイドで行われるツアー、海外現地出発・解散の宿泊を伴う周遊小旅行、マリンスポーツ・乗馬・スカイダイビング等のアクティビティ等も取り扱っています。
最近の投稿