オーストラリアのロックダウン状況 日本の行動制限要請との違い
オリンピックを控えた東京で7月12日から4度目の緊急事態宣言が発令され物議を醸しています。
政府は夏休みやお盆の期間の人流を抑制し感染拡大を防ぎたいとしていますが、緊急事態宣言→宣言解除→感染者増加、が繰り返され世間が「宣言慣れ」してきている現状に、緊急事態宣言の効果を疑問視する声も多くなってきています。
また、「緊急事態宣言」と「まん延防止等重点措置」の違いも一般の人々には分かりづらく、飲食店の営業時間やアルコール類の提供の有無のみがマスコミでクローズアップされているように見受けられます。
では、他の国ではどのような対策が取られているのでしょうか。
今回はオーストラリアの「ロックダウン」について見ていきたいと思います。
行動規制の違い
ヨーロッパや南米の多くの国で全国封鎖が行われたのに対し、日本では全国封鎖、地域封鎖とも行われず、全国での行動制限要請のみに留まっています。
オーストラリアはパンデミック当初、全国封鎖に次ぐ厳しい対策を取りましたが現在はアメリカと同じく地域封鎖を導入しています。
ちなみにお隣のニュージーランドは2020年3月25日に非常事態宣言を発令。
外出自粛を全国民へ要請し、全土を対象とした完全なロックダウン(全国封鎖)を行いました。
ロックダウンの成果か、ニュージーランドは感染者の発生を劇的に抑えることに成功しています。
(2021年7月12日現在の累計感染者数は2768名。オーストラリアは31323名、日本は822280名)。
オーストラリアで初めて新型コロナウイルスの感染者が確認されたのは2020年1月25日でした。
3月1日には新型コロナウィルスによる最初の死者が確認され、翌3月2日にはニューサウルウェールズ州で最初の市中感染が確認されました。
そしてついに3月20日に豪州政府は国境閉鎖を宣言、非居住者の入国が原則禁止となりました。
日本で緊急事態宣言を含む新型コロナウイルス対策の特別措置法が成立した3月13日のわずか一週間後のことです。
次いでオーストラリア国内では、以下のように州単位で州境の閉鎖が決定されました。
3月19日 タスマニア州が非常事態を宣言。州境を閉鎖し、州外からの訪問者全員に14日間の自己隔離措置を要請。
3月21日 北部準州(ノーザンテリトリー)も州境を閉鎖。同じく州外からの訪問者全員に14日間の自己隔離措置を要請。
3月22日 政府が豪州全土でカフェ、映画館、バー、カジノ、礼拝所、パブなどの閉鎖を発表。
3月24日 西オーストラリア州も州境を閉鎖。同じく州外からの訪問者全員に14日間の自己隔離措置を要請。
南オーストラリア州も州境を閉鎖。同じく州外からの訪問者全員に14日間の自己隔離措置を要請。
3月25日 クイーンズランド州も州境を閉鎖。同じく州外からの訪問者全員に14日間の自己隔離措置を要請。
オーストラリア 初めてのロックダウン
また、3月21日には豪全土で、生活に不可欠なサービス(病院、スーパーマーケット、コンビニ、薬局等)以外の経済活動および多くの学校の一時閉鎖が要請されました。
これは全国封鎖に次ぐ厳しい対策でしたが、この時点ではクイーンズランド州などの公立学校ではまだ生徒側に登校するか、自宅学習にするかの選択権がありました。
しかしその後、豪政府により第一学期の終了が早められ3月30日には全州で春休みがスタートしました。
これにより基本的にすべての学校は一時閉鎖となり、豪全土でロックダウンが始まりました。
但しヨーロッパ諸国と異なり、休業要請の対象に建設業や製造業が含まれなかったため、いわゆる「全国封鎖」とは定義しない識者もいます。
その後、公立学校は第二学期が始まる予定だった4月20日以降もすべて自宅学習に切り替えられました。
街から人々の姿が消え車通りも少なくなり、スーパーマーケットやコンビニで見かける人々はマスクで顔を覆た姿に変わりました。
ロックダウンの効果もあり、5月8日に豪政府はロックダウン緩和の3段階を発表します。
クイーンズランド州では自宅学習を続けていた準備学級と1年生は5月11日から、その他すべての学年の小中学生、高校生は5月25日から再び学校へ通うことができるようになりました。
5月中旬からは各州で徐々に規制の緩和策が取られ、街には少しずつ人々が戻り始めました。
全国封鎖から地域封鎖へ
そんな矢先、5月中旬ごろからメルボルンの隔離用ホテルより感染が拡大し、ビクトリア州の広域でクラスター(市中感染)が発生する事態が起こりました。
一時は7000人以上の感染者を出す事態に陥ったため、6月20日にビクトリア州は再度、規制の強化を発表しました。
しかしその後もビクトリア州内のクラスター発生地域は増え続け、感染拡大の「第二波」と呼ばれることになります。
6月30日にビクトリア州政府はメルボルン市内の10地域を地域封鎖しました。
前回の全国封鎖と異なり、国や州としては経済活動、社会活動を続けながらも局地的な封鎖により人流を止め、感染拡大を阻止する対策となりました。
7月4日には2地域を地域封鎖に追加、8月2日にはさらにビクトリア州全体に公共の場でのマスク着用の義務化や、学校・会社の一時閉鎖が指示されました。
地域封鎖の成果が表れ始めたのは9月。
9月13日にはビクトリア州政府が「規制緩和への道筋」を発表しました。
そして10月26日、ビクトリア州は6月9日から約4か月ぶりに新規感染者0人を記録。
これにより感染拡大第二波は終焉を迎えました。
オーストラリア全体としても11月1日に新規市中感染者0人を記録します。
地域封鎖が新型コロナウイルスの感染対策として有効だと評価された瞬間でした。
11月16日には南オーストラリア州のアデレードでも小規模なアウトブレイクが報告されました。
南オーストラリア州政府は規制を強化するとともに、州全体を地域封鎖しました。
これを受け、クイーンズランド州、ビクトリア州、西オーストラリア州も南オーストラリア州に対して州境を閉鎖。
感染拡大が制御されたとし、強化された規制はわずか5日後の11月21日に緩和されました。
この該当地域の地域封鎖と、それに対する他州の州境閉鎖がひとつの成功事例として認識され、以後、この対策方法が継承されていくことになります。
12月18日にはニューサウスウェールズ州シドニー郊外で28名のクラスターが発生。
規制強化と州境のコントロールが行われました。
12月24日にはクラスターによる感染者が104名に増えたとして、規制をさらに強化。
クリスマスシーズンのパーティーも規制されることとなりました。
12月31日にはメルボルンで8名の市中感染が確認されたとし、ビクトリア州政府は再度、規制を強化。
外出時のマスク着用を義務化するとともにニューサウスウェールズ州との州境を閉鎖しました。
2021年に入っても地域封鎖と州境封鎖により、感染の拡大は抑えられてきました。
ここへ来て変異株であるデルタ株の市中感染が確認され、地域封鎖の期間や地域は多少、大きくなっていますが、州単位で柔軟かつ迅速な対応が取られています。
現在のロックダウン状況
シドニーではデルタ株の市中感染が確認され、2021年6月26日よりシドニーを含む4地域で一週間の予定で地域封鎖=ロックダウンを始めました。
その後、デルタ株感染者が60名を超え、濃厚接触者の数も14000人まで拡大しました。
これを受け、ロックダウン該当地域はシドニー大都市圏、ブルーマウンテンズ、セントラルコースト、ウーロンゴンまで拡大され、ロックダウン期間も再三に渡り延長され、現在は7月30日までの予定となっています。
お隣のビクトリア州では7月15日にメルボルンを地域封鎖=ロックダウンしましたが、その後、該当地域をビクトリア州全域に広げ、5日間の短期集中地域封鎖を敢行しました。
ビクトリア州ではパンデミック以降、5度目、そして2021年に入って3度目のロックダウンとなりました。
感染者は18名に上りましたが、感染者の足取りは特定されています。
70ほどの施設や建物が日時と共に感染者の立ち寄りポイントとしてリスト化され、濃厚接触者も1500人ほどと推定されています。
またほとんどのケースがニューサウスウェールズ州から来た引っ越し業者の感染者と関係があると見られています。
この引っ越し業者がビクトリア州を横断し、南オーストラリア州まで旅行したとされているため、州全域の地域封鎖となった模様です。
コロナ後への道筋
オーストラリアでは感染者が少なく抑えられている為、新規感染者が発見された場合の足取り追跡調査がきちんと行われています。
これにより感染地域を特定し、有効な地域封鎖を行うことが可能となっています。
地域封鎖を州政府ごとに決定することができる点も対応の迅速化に繋がっています。
また、感染者を出した州以外の州が、感染者を出した州に対して州境を閉鎖することができる点も大きな効果があります。
遡ること7月2日には国家内閣により、ワクチン接種状況に応じた4段階の国家計画が策定されました。
これはコロナ以降の、オーストラリアの正常化への道筋を示したものと言えます。
イギリスでも7月19日から対コロナウイルスの規制全廃、というニュースが話題になりましたが、オーストラリアももうコロナ後の世界を見据えているのです。
日本で「シドニーがロックダウンに」などというニュースの見出しをご覧になられると心配される方も多いようですが、実はオーストラリアは日本より感染がコントロールされた状態にあるのがお分かりいただけたでしょうか。
日本で地方自治体ごとに地域封鎖や県境閉鎖を行うのは難しいかもしれません。
しかし多くの日本人が緊急事態宣言慣れしてしまった今、短期集中でより強い規制を特定のエリアに出す、というオーストラリアの対策には何かしら感じることがあるのではないでしょうか。
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