入国者待機にインストールが義務付けられる行動・位置確認アプリ OELとMySOSの詳細情報
新型コロナウィルスの水際対策の1つとして、日本国外から入国または帰国する際には、自宅や宿泊施設を入国時に厚生労働省・検疫所を「待機場所」として登録、その待機場所で14日間待機をしなければなりません。
その「14日間の待機期間中」、入国・帰国者が登録待機場所に制約通り待機しているのか、検疫所からスマートフォンのアプリを通じて確認をされることになります。
この行動確認で利用されるアプリは「OEL」と「MySOS」の2つのアプリを利用して確認されます。これらのアプリは、当日空港到着までにお使いのスマートフォンに、予めインストールしておく事が推奨されています。
入国時にこれらのアプリがスマートフォンにインストールされていて、正しく稼働しているかの確認を、「アプリ検査場」にて係員によって一人ひとり目視で行われます。インストールされていない場合は、その場でインストールすることが要求されます。
スマートフォンを持っていない場合は、空港にてスマートフォンのレンタルをしなければなりません。スマートフォンのレンタルデスクは「アプリ検査場」にあり、レンタル費用は自費になります。
なお「アプリ検査場」には、英語での対応は勿論、中国語、タイ語、ベトナム語を母国語とする多国籍のスタッフが揃えられています。
2021年の4月と6月、2回の日本へ帰国を体験した筆者が、日本帰国時の体験をご紹介します。
OEL(Overseas Entrant Locator)
厚生労働省・検疫所が新型コロナウィルスの水際対策の為に作成した、オリジナルの位置情報アプリになります。到着時のアプリ検査場では、アプリのインストールが行われて、位置情報へのアクセスがこのアプリへ許可されているかの確認を行います。
入国日の翌日に厚生労働省よりメールで「入国者健康確認センター位置情報アプリOELの使用開始のご案内」が届き、そこに記載された「ID」と「パスワード」をアプリにログイン、アプリ使用して位置情報の報告を厚生労働省の「入国健康管理センター」へ報告を開始します。
このOELアプリを通して、「入国者健康確認センター」より、位置情報の報告を求める通知が送られてきます。その通知を受け取った後、アプリの「今ここ!」というボタンを押します。
このボタンを押すことにより、アプリを通じて位置情報が入国者健康確認センターへ送られます。
アプリは他の言語に切り替えるメニューがないので、日本語のみというのが気になります。現在日本に入国する外国人は基本的に日本定住者の再入国、単純なアプリなので英語アプリがなくてもまあ大丈夫でしょう、という感じでしょうか。
OEL 報告依頼回数、時間
厚生労働省・入国者健康確認センターのWEBサイトによると、「1日複数回」とありますが、4月、6月の経験では「1日2回、午前1回、午後1回」でした。時間は「09:00-18:00」の間で、毎日変動します。
4月に1度だけ22時頃がありましたが、これはシステムトラブルか何かのイレギュラーだったと思います。
アプリ通知はライン等のメッセージ通知と同じく、通知を受け取った時にしか鳴らないので、位置情報報告依頼の通知がが来ている事に気が付かないことがよくあります。
何分以内にボタンを押さなければならない、といった決まりはありませんので、それほど神経質になることはないですが、数日間にわたり反応がない場合は「報告されない場合、見回り訪問が行われ、一定要件で氏名公表の対象となることがあります。」とのことです。
OEL アプリのエラー
このOEL位置情報確認アプリで「今ここ!」ボタンを押すと、上記のようなエラーが発生することがあります。一時的な通信、またはサーバー側の障害によって発生、ちょっと時間をおいてボタンを押すと、問題なく送信されます。
しかしながら、時間をおいて「今ここ!」ボタンを押してもエラーになり、一向に送信されないということが発生しました。
後述するもう「MySOS」がかかってきたたので、係員の人へその旨報告した所、「アプリの不具合は入国者健康管理センターへお問合せください」という事でした。
いただいた電話番号へ電話し、音声ガイダンスの「OEL等のアプリに課するトラブルは2」を押した所、「入国者健康管理センターのホームページの参照してください。ダブリュー・ダブリュー・・・」の自動音声でWEBサイトのアドレスのみの案内。
WEBサイトにあるPDFファイルによるアプリの説明には、エラーの解決方法の記載はありません。
試行錯誤の末、アンドロイド機でテザリングをオンにしているとこのエラーが発生し、オフにすると問題が解決することを発見しました。
せっかく見つけたバグなので今後の役にたてばと思い、どこかに報告しようと思い、WEBサイト等を探しましたが、バグを報告する所が見つかりませんでした。
先ほどの入国者健康管理センターへ電話を入れ、オペレーターの出る4番を選択、そのオペレーターの方に聞いたところ、バグの報告を受け付ける窓口はないとのこと。
新型コロナウィルス感染者との接触確認アプリ「COCOA」で、2020年のアンドロイド版アップデート後で届かないという不具合が発生、「有志からの指摘はあったものの、2021年2月に改修版が登場するまでそのまま4カ月放置」という事がありましたが、残念ながらその反省と対応策は生かされていないように思えました。
筆者はたまたま不具合の発生要因を見つけることができたから良かったですが、このまま見つけることができずに毎回エラーが発生して位置情報を送信できなかった場合、「応答なし」に分類されていた可能性があります。
MySOS
MySOSはビデオ通話アプリになり、オペレーターとビデオ通話を通して、居所の確認を行うアプリになります。
前述のOELは新型コロナウィルスの水際対策用オリジナルで開発されたものですが、このMySOSのアプリは既存のアプリのビデオ通話機能のみを使えるようにした機能制限版を使用しています。
当初居所確認のビデオ通話アプリはLINEが使用されていましたが、2021年3月にLINEの情報漏洩ニュースをきっかけに、公的機関、行政等にてLINE使用離れが発生、2021年4月よりSKYPE、またはWHAT'S APPのどちらかに切り替わりました。
しかしながら、この2つのアプリでの運用では色々な不具合が発生し、実質的に機能していない状態になったことから、再度現在のMySOSに切り替えられています。
元々のMySOSは「けが、病気、具合が悪い時に処置方法を確認したり、近隣の人へSOSの送信、AEDや病院の検索」ができる、株式会社アルムが提供するアプリです。
AppStore、Google Playから同名、同ロゴのアプリをダウンロードできますが、それらはこの居場所確認では使えませんので注意してください。必ず専用のダウンロードリンク、又はQRコードを読み込んで、ダウンロードする必要があります。
混乱を避ける為に、違う名称、ロゴを使った方が良かったのではないでしょうか。
このアプリはOELと違い、英語、フランス語、スペイン語、中国語、韓国語等、多言語対応しています。
MySOS 通話回数・時間・内容
4月のSKYPE、またはWHAT'S APP使用時の待機の時は、一度もかかってきたことありませんでしたが、6月のMySOSに使用アプリが切り替わってからは、ほぼ毎日かかってきます。14日間の間2回ほどかかってこない日もありました。
回数は1日1回のみ、時間帯は12:00-17:00の間、14日目の最終日を除いて午前中にかかってきたことはありませんした。最終日のみ朝の9時半ごろかかってきました。
ビデオはこちら側のみオン、オペレーター側はオフになっています。名前、登録待機場所で待機をしているかを確認してきます。
毎回ではありませんが、カメラをぐるりとまわして、周辺の様子を写してくださいと要求されることもあります。また、何故か12歳以下の同行者はいましたか、と聞かれることもあります。
通話をしてくるオペレーターの男女はランダム、女性でも男性のオペレーターがかけてくることあります。つまりすっぴんの無防備な状態で応答しなくてはいけない事が発生します。
また前述のように、部屋の中をぐるりを見せてください、と要求されることもありますので、女性の方は知らない男性に部屋の中を見せるという事に抵抗がある方もいるかと思います。
MySOS アプリのエラー
14日間の入国者待機期間中、MySOSが「着信しても鳴らない」という現象が発生しました。後でスマートフォンの通知にMySOSに着信があったという通知のみ残っています。
MySOSは折り返しの通話ができない仕様になっており、再度時間をおいて2回目の通話もしてくれないので、そのまま今日1日は「応答なし」になってしまいます。
この「着信できる状態だったのにいつの間にか着信だけが残っていた」、発信者側は「普通に呼び出し音がなっていた」というのは、LINEでもたまに発生することがあり、絶対的な解決のできない通話アプリの宿命なのかもしれません。
入国時に提出しなければならない「誓約書」で、「厚生労働省が指定するビデオ通話アプリをインストールし、入国者健康管理センターから当該アプリを通じ連絡が来た場合には応答すること。」を誓約しています。
そして「誓約に違反した場合は氏名を公表されること」を了承してしまってます。外国籍の方であれば、在留資格の取消し及び強制退去もあり得ます。
誓約に違反した場合(不実の記載があった場合も含む。)、関係当局により氏名(外国人の場合は氏名及び国籍)や感染拡大の防止に資する情報が公表され得るとともに、検疫法の規定に基づく停留の対象となり得ること(さらに、外国人の場合は出入国管理及び難民認定法の規定に基づく在留資格取消手続及び退去強制手続等の対象となり得ること)、また、誓約違反が疑われる行為が確認された場合には、自治体等から関係当局に、当該行為に関する情報(個人情報を含む。)の提供がされ得ることを理解し、承諾します。
この「通知なし着信」が連続3日間続き、規定の通り登録待機場所で待機をしているのに関わらず、「応答なし」分類されるのは納得いかなかったので、OELアプリと同様、帰国者健康確認センターへ電話し、4番のオペレーターへ相談しました。
事情を説明した所、「取れない場合は仕方ないので、でれる時は出てください。」としか言えないようでした。アプリの不具合に関して具体的にどこを確認してください、あるいはどこに相談してください、という案内もできないようです。
オペレーターの方によると、今回のような「通知なし着信」の報告は他からも来ているようです。
「もしかしたら警告メールが自動で送信されるかもしれないが、連絡あったと記録は残しておくので、気にしないでください」ということでした。
お風呂やトイレに入っていることもあるだろうし、24時間いつでも通話をとれる状態というのは、しょせん無理な話なので、結果的にはオペレーターの方がいうように、「取れない場合は仕方ないので、でれる時は出てください。」で、あまり神経質にならにで良いと思います。
取れない日が2、3日続いた場合は、念のため帰国者健康確認センターへ電話し、自身の記録に着信の折り返しの連絡あったことを、記録に残してもらっておけば安心です。
なお、この「通知なし着信」の不具合は、スマートフォンを再起動した所解決し、その翌日から通話をとれるようになりました。
AIによる自動ビデオ架電の開始
2021年6月17日、MySOSのアプリから以下のメッセージがありました。
MySOSのアプリより6月18日より人によるビデオ架電に加えて、AIによる自動ビデオ架電が一部で開始されます。自動ビデオ架電をご利用いただくためMySOSをアップデートしてください
指示に従い、アプリのアップデートを行い、AIによる自動ビデオ通話がどのようなものか体験してみたかったのですが、残念ながら筆者の待機期間中にはこのAIによる自動ビデオ通話はなく、従来の人によるビデオ通話のみでした。
なお、アップデート版のインストールをする際に、新たにスマートフォンの「位置情報」へのアクセス許可を求められました。
以前のバージョンではスマートフォンの位置情報を利用していなかったのですが、今回アップデートになった最新のMySOSでは、通話と同時にGPSによる位置情報が自動的に帰国者健康確認センターへ送信されることになりました。
ご注意
掲載されている情報は執筆時のものです。特に新型コロナウィルスの水際対策に関して、日々手続き、対策は変化していますので、現在の状況と異なっている場合もあります。
提供した内容に関連して、ご利用される方が不利益等を被る事態が生じたとしても、当社および執筆者は一切の責任を負いかねますので、ご了承ください
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