オーストラリアの昆虫完全ガイド|セミ・チョウ・甲虫・アリなど代表種と見られる場所7選

オーストラリアを旅していると、カンガルーやコアラより先に「この国らしさ」を感じさせる生き物に出会うことがあります。真夏の公園を埋め尽くすセミの大合唱、クリスマス前に街灯へ飛んでくる光沢のある甲虫、熱帯雨林を舞う大きなチョウ、雨季の始まりを知らせる色鮮やかなバッタ。どれもオーストラリアの風景に深く結び付いた昆虫です。

昆虫は、頭・胸・腹の3つの部分、6本の脚、1対の触角を持つ動物です。クモ、サソリ、ダニなども小さな無脊椎動物ですが、脚が8本ある別のグループで、昆虫には含まれません。

オーストラリアの昆虫相は非常に豊かで、現在も未記載種が少なくありません。CSIROのオーストラリア国立昆虫コレクション(Australian National Insect Collection)だけでも、昆虫と関連する無脊椎動物を1,200万点以上収蔵しています。

旅行者が昆虫観察を楽しむなら、特別な装備は必要ありません。公園の花、ユーカリの幹、遊歩道沿いの葉、夜の照明、水辺などを少し意識するだけで、都市部でも多くの種類に出会えます。

この記事では、日本からオーストラリアを訪れる旅行者向けに、代表的な昆虫、見られる場所、季節、セミ、甲虫、チョウとガ、アリ・ハチ、ナナフシ、シロアリ、生態系での役割、そして蚊や刺す昆虫への対策まで詳しく解説します。

オーストラリアの昆虫とは?

昆虫は地球上で最も多様な動物群の一つです。オーストラリア博物館(Australian Museum)は、昆虫を「1対の触角、6本の歩脚、頭・胸・腹の3部分、外骨格を持つ動物」と説明しています。

オーストラリアでも、甲虫、ハエ、セミ、チョウ、ガ、ハチ、アリ、トンボ、カマキリ、ゴキブリ、シロアリ、ナナフシなど、非常に多くのグループが見られます。

旅行中に見つける昆虫の多くは人に害を与えません。花粉を運ぶ、落ち葉や枯れ木を分解する、ほかの動物の餌になるなど、生態系を支える重要な役割があります。

脚は6本

昆虫の胸部には3対、合計6本の脚があります。脚が8本のクモやダニは昆虫ではなく、クモ形類です。

翅を持つ無脊椎動物として大成功した

飛翔能力は、昆虫が新しい環境へ移動し、捕食者から逃げ、餌や繁殖相手を探す上で大きな武器になりました。

人の暮らしのすぐそばにも多い

森や砂漠だけでなく、都市の庭、公園、街路樹、ベランダ、ホテル周辺にも多くの種類がいます。

クモ・ダニ・サソリは昆虫ではない

旅行中によく一括して「虫」と呼ばれますが、昆虫は6本脚、クモ形類は基本的に8本脚です。この記事では主に真正の昆虫を扱います。

なぜオーストラリアは昆虫が多い?

オーストラリアには熱帯雨林、乾燥砂漠、サバンナ、温帯林、高山帯、湿地、海岸など多様な環境があります。さらに長期間にわたってほかの大陸から隔離されてきたため、独自に進化した昆虫が多く見られます。

一方で、研究が十分でないグループも多く、現在も新種が発見・記載されています。

国立昆虫コレクションは1,200万点超

CSIROのオーストラリア国立昆虫コレクションは、オーストラリア産昆虫を中心に1,200万点を超える標本を収蔵し、毎年10万点以上増えています。

アリだけでも1,275種以上が記載

オーストラリア博物館によると、オーストラリアでは1,275種のアリが記載されていますが、研究が進めば倍近くになる可能性があるとされています。

在来ゴキブリは約400種

家庭で問題になる外来ゴキブリのイメージとは違い、オーストラリアには約400種の在来ゴキブリがいて、そのほとんどは森林や落ち葉の中で暮らしています。

ナナフシも約150種

オーストラリア博物館では、オーストラリアに約150種のナナフシ類がいると紹介しています。体長25cmになるタイタン・スティック・インセクト(Titan Stick Insect)など大型種もいます。

オーストラリアの昆虫基本情報

グループ代表例旅行者が注目したい点
セミグリーングローサーゼミ(Greengrocer Cicada)、ダブルドラムゼミ(Double Drummer)夏の東海岸で大合唱
甲虫クリスマスビートル(Christmas Beetle)、フンコロガシ類夏の灯り・ユーカリ周辺
チョウ・ガバードウイング、ユリシス(Ulysses Butterfly)、ボゴン・モス(Bogong Moth)熱帯雨林から高山まで
アリ・ハチキバハリアリ(Bull Ant)、ブルーバンデッド・ビー(Blue-banded Bee)花粉媒介と刺傷に注意
ナナフシユウレイヒレアシナナフシ(Spiny Leaf Insect)、タイタン・スティック・インセクト枝葉への擬態が非常に巧み
シロアリ磁石シロアリ(Magnetic Termite)などトップエンドの巨大な蟻塚

生息地と分布

昆虫はオーストラリア全土にいますが、種類は地域によって大きく変わります。熱帯北部には大型チョウや色鮮やかなバッタ、南東部の夏にはセミ、乾燥地にはアリや甲虫、高山部には季節移動するガなどが見られます。

同じ都市でも、芝生だけの公園より、在来植物、落ち葉、池、古木が残る場所の方が昆虫の種類は豊富です。

熱帯北部は一年を通して多彩

高温多湿のクイーンズランド州北部やトップエンドでは、チョウ、ナナフシ、カマキリ、バッタ、シロアリなどの活動が目立ちます。

南部では季節変化が大きい

シドニー、メルボルン、アデレード、パースでは、春から夏に飛ぶ昆虫が増え、冬は目立つ種類が少なくなります。

旅行中に昆虫を見つける方法

昆虫観察は、珍しい種類を探すより「どこを見るか」を知るのが近道です。花、木の幹、葉の裏、水辺、落ち葉、夜の灯りには、それぞれ違う昆虫が集まります。

スマートフォンで撮影して後から種類を調べる方法なら、捕まえる必要もありません。

花とユーカリを見る

チョウ、ハチ、ハナアブ、甲虫、セミなど、多くの昆虫が花や樹液、葉を利用します。開花している在来植物は特に狙い目です。

夜は照明と葉の裏

ガ、ナナフシ、カマキリ、甲虫など昼間より夜に見つけやすい種類があります。宿泊施設の外灯周辺も意外な観察ポイントです。

1.シドニー

シドニーは、夏のセミを体験するのに最適な都市です。グリーングローサーゼミはシドニー周辺で特によく見られ、気温が上がると公園や住宅地で大きな合唱が始まります。

NSW州政府は、都市の庭でもチョウ、ハチ、甲虫、アリ、テントウムシなど多様な昆虫が見られると案内しています。

11~2月はセミの季節

ユーカリなどの幹を見ると、羽化後に残った茶色い抜け殻が多数付いていることがあります。鳴いているのは雄だけです。

公園では花と水辺も見る

ハナバチ、トンボ、チョウなどは市内の大きな公園でも見つけられます。夏の散策なら鳥だけでなく昆虫にも注目してみましょう。

2.ブルー・マウンテンズとシドニー近郊

シドニー周辺の森林や開けたユーカリ林は、クリスマスビートルを見る地域として知られています。

オーストラリア博物館によると、クリスマスビートルのAnoplognathus属には約36種があり、21種がニューサウスウェールズ州、少なくとも10種がシドニー地域に見られます。

クリスマス前後の夏に成虫が現れる

成虫はユーカリの葉を食べ、夜には街灯へ飛んでくることがあります。金属光沢のある茶、緑、黄色、ピンク系の体色が特徴です。

Blue Mountainsには巨大トンボも

ニューサウスウェールズ州のジャイアント・ドラゴンフライ(Giant Dragonfly)は世界最大級のトンボの一つで、雌の翅開長は最大12.5cmほど。湿った湿原環境に依存する希少種です。

3.ケアンズ・ウェット・トロピックス

ケアンズからアサートン高原、デインツリーにかけてのウェット・トロピックスは、大型チョウやナナフシなど熱帯昆虫を観察するのに魅力的な地域です。

青く輝くユリシス、大型のケアンズ・バードウイング(Cairns Birdwing)をはじめ、南部とはまったく違う昆虫相が見られます。

森林の縁と花の多い場所を探す

大型チョウは密林の奥だけでなく、林縁や開けた場所、庭園の花へ出てくることがあります。晴れて暖かい時間帯が狙い目です。

夜はナナフシ類にも注目

北クイーンズランドの雨林には大型のナナフシ類が多く、昼間は枝葉へ完全に溶け込みます。2025年にはアサートン高原の高地雨林から、約40cm・44gの大型ナナフシ個体が研究対象として報告され話題になりました。

4.ブリスベン・ゴールドコースト周辺

南東クイーンズランドで注目したいのがリッチモンド・バードウイング(Richmond Birdwing)です。オーストラリア最大級のチョウで、亜熱帯雨林と幼虫の食草に強く依存します。

クイーンズランド州政府によると、現在安定して見られる地域はサンシャインコースト側と、Ormeau・Mount Tamborineからニューサウスウェールズ州北東部にかけての地域です。

雄は緑から青緑に輝く

雄は黒地に光沢のある緑色が目立ち、雌はより大きく、黒・白・クリーム色を基調とします。雌の翅開長は最大15cmほどです。

食草のある雨林が鍵

幼虫はバードウイング・バタフライ・バインを利用します。外来植物ダッチマンズ・パイプ(Dutchman's Pipe)へ誤って産卵すると幼虫が死ぬため、保全活動では在来食草の植栽が進められています。

5.ダーウィン・カカドゥ

トップエンドの昆虫で特に印象的なのが、青とオレンジのライヒハルト・グラスホッパー(Leichhardt's Grasshopper)です。カカドゥ国立公園を象徴する昆虫の一つです。

カカドゥ公式サイトによると、Kakadu、West Arnhem Land、Nitmiluk National Park、Keep River National Parkなど限られた地域だけに分布します。

10月ごろから熱帯の夏に姿を見せる

毎年10月ごろ、モンスーン前の嵐が始まる時期に現れます。個体数は年によって大きく変動します。

BurrungkuyのBarrk Walkが観察候補

Stone CountryのPityrodia低木で探すのがポイントです。Kundjeyhmiではalyurrと呼ばれ、Namarrkon(雷の創造祖先)の子どもとして季節の変化と結び付けられています。

6.オーストラリアン・アルプス

ニューサウスウェールズ州とビクトリア州の高山地域では、ボゴン・モスがオーストラリアならではの昆虫です。

内陸部から季節移動し、高山の岩場などで夏を過ごす大量移動で知られています。マウンテン・ピグミー・ポッサム(Mountain Pygmy-possum)にとっても重要な食物です。

「ガ」も生態系の主役になる

ビクトリア州政府は、ボゴン・モスの大規模な季節移動を、山岳生態系へ運ばれる重要なエネルギー源として紹介しています。派手なチョウだけが観察対象ではありません。

高山では環境を荒らさない

岩場や高山植物は踏み荒らしに弱いため、ガを探す目的でも遊歩道を外れず、休息場所を持ち上げたり掘り返したりしないでください。

7.パース・キングス・パーク

キングス・パーク&ボタニック・ガーデン(Kings Park and Botanic Garden)では、西オーストラリア州固有性の高い在来ハチやほかの昆虫を都市の中で観察できます。

キングス・パークは在来ハチの重要性を紹介するビー・ホテル(Bee Hotel)を設置しており、オーストラリアには2,000種以上、西オーストラリア州だけでも800種以上の在来ハチがいると案内しています。

春のワイルドフラワーと昆虫を一緒に見る

花の季節はハチ、ハナアブ、チョウ、甲虫などの活動も目立ちます。ビー・ホテルは触らず、出入りする個体を少し離れて観察してください。

在来ハチの種類を見比べる

ブルーバンデッド・ビー、ハキリバチ(Leafcutter Bee)、レジンビー(Resin Bee)など、在来ハチは体の色や巣の作り方もさまざまです。花へ来た個体を撮影して後から見比べると、ミツバチとは違う多様性が分かります。

目的別・観察場所の選び方

夏の「音」を体験するならシドニーのセミ、金属光沢の甲虫ならシドニー近郊のクリスマスビートル、大型チョウやナナフシならケアンズ、地域固有の昆虫と文化の関係ならカカドゥ、在来ハチならパースがおすすめです。

短期旅行なら都市公園でも十分

昆虫は遠隔地へ行かなければ楽しめない生き物ではありません。都市公園、植物園、ホテル周辺の花木でも多くの種類を見つけられます。

観察しやすい季節と時間

南部では春から夏、熱帯北部では雨季や雨季前の「Build-up」に活動が目立つ種類が多くなります。ただし、昆虫ごとに季節は大きく異なります。

チョウやハチは晴れた日中、セミは暖かい時間、ガやナナフシは夕方から夜、トンボは晴れた水辺で見つけやすい傾向があります。

セミ|オーストラリアの夏を代表する音

オーストラリア博物館によると、オーストラリアには200種を超えるセミが知られています。特に東海岸では、夏の森や公園を圧倒する大音量の鳴き声が季節の風物詩です。

鳴くのは雄だけ

雄は腹部の発音器官を使い、雌を呼ぶために鳴きます。種類ごとに異なる音を持つため、姿が見えなくても声で識別できることがあります。

グリーングローサーゼミはシドニーの代表種

鮮やかな緑色が基本ですが、黄色い「イエロー・マンデー(Yellow Monday)」や青い「ブルー・ムーン(Blue Moon)」と呼ばれる色彩型も知られています。

ダブルドラムゼミはオーストラリア最大級

ダブルドラムゼミはオーストラリア最大のセミとして知られ、名前どおり非常に大きな鳴き声を出します。

幼虫時代は地中で数年

幼虫は木の根から樹液を吸いながら地中で成長し、晩春から初夏の夜に地上へ出て木へ登り、最後の脱皮をします。

甲虫|クリスマス・ビートルなど

甲虫は硬い前翅を持つ昆虫で、世界でも非常に種数の多いグループです。オーストラリア旅行で覚えておきたい代表がクリスマスビートルです。

クリスマスビートルは夏の東部を象徴

Anoplognathus属には約36種があり、ほぼすべてがオーストラリア固有です。成虫はユーカリの葉を食べます。

名前の由来は出現時期

春の終わりから夏、特にクリスマス前後に成虫が目立つことからこの名で呼ばれます。

幼虫は地中で草の根を食べる

白いC字形の幼虫は土中で暮らし、草の根を食べます。成虫と幼虫で生活場所と食べ物が大きく違います。

都市化で見かける数が減った地域も

オーストラリア博物館は、シドニー周辺ではかつてのような大群が減ったという市民の実感と、生息地である草地とユーカリ林の減少との関係を紹介しています。

チョウとガ|熱帯から高山まで

オーストラリアには400種を超えるチョウが知られ、熱帯北部ほど大型で色鮮やかな種類が目立ちます。一方、ガも花粉媒介や食物連鎖で重要な役割を担います。

北クイーンズランドは大型種が目立つ

ユリシスやケアンズ・バードウイングなど、南部では見られない大型のチョウを観察できます。森林の縁や花の多い庭園を探すのがコツです。

リッチモンド・バードウイングは保全の象徴

南東クイーンズランドでは、生息地分断や食草の減少から保全活動が続いています。幼虫の食草を守ることが成虫のチョウを守ることにつながります。

ボゴン・モスは長距離移動

季節によって内陸から高山へ大量に移動し、鳥やマウンテン・ピグミー・ポッサム(Mountain Pygmy-possum)など多くの動物の重要な餌になります。

アリ・ハチ|在来ハチとブル・アント

オーストラリアのアリとハチは種類が非常に多く、花粉媒介、捕食、種子散布などで生態系を支えています。

在来ハチは2,000種以上

キングス・パークは、オーストラリアに2,000種以上の在来ハチがいると紹介しています。ブルーバンデッド・ビー、ハキリバチ、レジンビーなど、ミツバチとは違う生活をする種類が多数います。

キバハリアリは最大4cmほど

オーストラリア博物館によると、キバハリアリは約90種、体長8~40mm。大きな目と長い顎を持ち、巣へ近づく侵入者を追うことがあります。

刺す種類には距離を取る

キバハリアリや一部のハチは強い痛みを伴う刺傷を起こします。巣を踏んだり、手で払おうとしたりせず、静かに距離を取ってください。

ナナフシ・カマキリ|擬態の達人

ナナフシは枝、葉、樹皮へ姿を似せることで捕食者から身を守ります。オーストラリアには約150種が知られています。

ユウレイヒレアシナナフシは葉そっくり

雌は大型で翅が短く、雄は細身でよく飛びます。卵をアリが巣へ運び、孵化した幼虫がアリに似た姿で地上へ出るという興味深い生活史を持ちます。

カマキリは待ち伏せ型の捕食者

前脚を折りたたんで花や葉の上で待ち、近づいた昆虫を素早く捕らえます。小さな庭でも自然の「害虫コントローラー」として働きます。

シロアリ|北部の巨大な巣

ダーウィンやリッチフィールド、カカドゥを旅行すると、道路脇に何メートルもの高さのシロアリ塚を見ることがあります。シロアリはアリではなく、ゴキブリに近縁な社会性昆虫です。

巣の中は温度と湿度が調節される

複雑な通路と空気の流れを使い、外が暑く乾燥していてもコロニーが暮らしやすい環境を作ります。

磁石シロアリの薄い巣は方角がそろう

トップエンドでは板状の巣がほぼ南北方向に並ぶことで知られる種類があります。強い日射を受ける面積を時間帯ごとに調整する適応の一例です。

花粉媒介・分解・食物連鎖

昆虫は「刺す」「食べ物へ集まる」といった印象だけでは語れません。ハチ、ハエ、チョウ、ガ、甲虫は花粉を運び、アリ、ゴキブリ、ハエ、シロアリは落ち葉や死骸を分解し、カマキリやトンボ、ハチはほかの昆虫を捕食します。

昆虫が減ると鳥やトカゲにも影響する

NSW州政府は、昆虫が食物連鎖の下部を支え、昆虫食の鳥、カエル、爬虫類、哺乳類に不可欠だと説明しています。小さな虫の減少は、より大きな動物にも連鎖します。

変態・幼虫・さなぎ・羽化

昆虫の魅力は、成虫だけでなく成長段階ごとに姿と生活が大きく変わることです。旅行中に見つける「別の虫」が、実は同じ種の幼虫と成虫ということもあります。

チョウとガは完全変態

卵、幼虫、さなぎ、成虫という4段階を経ます。幼虫と成虫では食べ物も体の形も大きく異なります。

甲虫も完全変態

クリスマスビートルでは、幼虫は地中で草の根を食べ、成虫はユーカリの葉を食べます。

セミはさなぎを作らない

幼虫から脱皮して翅のある成虫になり、木の幹には抜け殻だけが残ります。

ナナフシの幼虫は小さな成虫のような姿

成長のたびに脱皮を繰り返し、少しずつ翅や体が完成します。ユウレイヒレアシナナフシでは、孵化直後の幼虫がアリに似るという特殊な擬態も見られます。

羽化直後は触らない

セミ、チョウ、トンボなどは羽化直後に翅を伸ばして硬化させます。この時間に触ると翅が正常に伸びないことがあるため、そのまま見守ってください。

蚊・刺す昆虫・旅行者の安全対策

オーストラリア旅行で実際に一番対策したい昆虫は、巨大な甲虫より蚊(Mosquito / Mozzie)です。北部や湿地、雨の後だけでなく、地域や季節によって南部でも多くなります。

DEETやピカリジンなどの虫よけを使う

オーストラリア政府の予防案内では、DEET、picaridin、oil of lemon eucalyptusを含む有効な虫よけを、製品表示どおりに使うことが勧められています。

夕方・夜は肌の露出を減らす

長袖、長ズボン、靴下などを利用し、特に夕暮れと夜明け前後の屋外活動では刺されにくい服装にします。

キバハリアリの巣には近づかない

大型で視力が良く、巣へ近づいた人を追う種類があります。足元に多数の大きなアリが見えたら、その方向へ進まず離れてください。

ハチを手で払わない

飲み物や食べ物へ寄ってきても、激しく手で振り払うより静かに距離を取ります。花の近くでは足元の巣にも注意します。

強いアレルギー歴がある人は事前準備を

ハチやアリの刺傷で重いアレルギー反応を起こしたことがある場合は、旅行前に医療専門家へ相談し、必要な薬や行動計画を準備してください。

旅行者の昆虫対策は「怖がる」より「刺されない工夫」:虫よけ、肌を覆う服、網戸のある宿泊施設を利用し、巣や群れを刺激しなければ、多くの昆虫は安全な距離から楽しめます。

オーストラリアの昆虫に関するよくある質問(FAQ)

オーストラリアには昆虫が多いですか?

非常に多様です。CSIROのオーストラリア国立昆虫コレクションだけでも1,200万点を超える昆虫・関連無脊椎動物標本を収蔵し、現在も分類研究が続いています。

クモは昆虫ですか?

いいえ。昆虫は脚が6本、クモは8本です。クモ、サソリ、ダニはクモ形類で、昆虫とは別のグループです。

オーストラリア旅行で一番よく聞く昆虫は?

夏の東海岸ではセミです。シドニー周辺ではグリーングローサーゼミやダブルドラムゼミなどの大きな鳴き声が、夏の風景の一部になっています。

クリスマスビートルとは何ですか?

夏、特にクリスマス前後に成虫が目立つAnoplognathus属のコガネムシ類です。金属光沢を持つ種類が多く、東部オーストラリアの夏を代表する昆虫です。

カカドゥで見たい昆虫は?

青とオレンジのライヒハルト・グラスホッパーが代表的です。10月ごろから熱帯の夏に現れ、BurrungkuyのStone Countryが有力な観察地です。

オーストラリア最大級のチョウはどこで見られますか?

北クイーンズランドではケアンズ・バードウイング、南東クイーンズランドからニューサウスウェールズ州北東部ではリッチモンド・バードウイングなど、大型のバードウイング類を見る機会があります。

オーストラリアの在来ゴキブリも害虫ですか?

ほとんどは害虫ではありません。オーストラリア博物館によると、約400種の在来ゴキブリの大半は森林や落ち葉など自然環境で暮らし、分解者として役立っています。

キバハリアリは危険ですか?

強い痛みを伴う刺傷を起こします。巣の近くでは攻撃的になる種類があるため、見つけても近づかず静かに離れてください。

蚊対策は必要ですか?

必要です。地域と季節によりますが、特に湿地や熱帯地域では虫よけ、長袖・長ズボン、網戸などを利用して刺されないよう対策してください。

昆虫を捕まえて日本へ持ち帰れますか?

国立公園や保護地域では採集が禁止・許可制の場合があり、国外持ち出しや日本への持ち込みにも検疫・法規制があります。旅行者は採集せず、写真で記録するのが安全です。

昆虫観察に特別な道具は必要ですか?

必須ではありません。スマートフォン、必要なら小型双眼鏡やマクロ撮影機能があれば十分です。夜は足元確認用のライトも役立ちます。

オーストラリアの昆虫に関する参考情報

まとめ:昆虫を見ると、オーストラリアの季節がもっとよく分かる

オーストラリアには、セミ、甲虫、チョウ、ガ、アリ、ハチ、ナナフシ、シロアリなど非常に多様な昆虫が暮らしています。

シドニーの夏ならセミとクリスマスビートル、ケアンズなら大型チョウやナナフシ、カカドゥならライヒハルト・グラスホッパー、パースなら在来ハチと、旅行先ごとに「その土地らしい昆虫」が違います。

昆虫は花粉を運び、落ち葉を分解し、ほかの動物の餌となる、生態系の土台です。鳥やトカゲを観察する時も、その周囲にいる昆虫へ目を向けると、動物同士のつながりが見えてきます。

一方、旅行中の実用面では蚊、キバハリアリ、ハチなどへの基本的な対策も必要です。虫よけを使い、巣を刺激せず、夜や湿地では肌の露出を減らせば、多くの場面で安心して自然観察を楽しめます。

オーストラリアでは、動物園へ行かなくても公園の木一本、花壇ひとつから十分に面白い昆虫観察が始まります。次の旅行では、少しだけ足元と葉の裏にも目を向けてみてください。

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