オーストラリアの民泊規制と問題点|Airbnbの市場規模・住宅不足への影響・各州の法規制

AirbnbやStayzの普及によって、オーストラリアでは普通の一軒家やアパートメントが旅行者向けの宿泊施設として使われる光景が珍しくなくなりました。

旅行者にとってはホテル以外の選択肢が増え、家族やグループで一軒を借りたり、地方都市やビーチ沿いに長く滞在したりしやすくなった一方、住宅地で暮らす住民から見ると事情は少し違います。

とくに観光地や住宅不足が深刻な地域では、長期賃貸住宅が短期宿泊へ転用されること、家賃・住宅価格への影響、騒音、ゴミ、駐車、集合住宅のセキュリティーなどが問題になっています。

そのため現在のオーストラリアでは、「民泊を認めるか、禁止するか」という単純な議論ではなく、ホストが住む住宅の一室を貸すケースと、投資物件を一年中旅行者へ貸すケースを分けて考える方向へ規制が進んでいます。

この記事では、オーストラリアにおける民泊の法規制、マーケット規模、簡単な歴史、住民側から見たメリットとデメリット、住宅不足との関係、各州の規制例、今後の方向性まで分かりやすく整理します。

オーストラリアの民泊をめぐる現在地

オーストラリアでは、民泊を一般にShort-Term Rental Accommodation(STRA)、short stay、holiday rentalなどと呼びます。

全国共通の「民泊免許」が一つあるわけではなく、州・準州政府の法律、自治体の都市計画、集合住宅の管理規約、消費者保護法などが重なって規制しています。

最大の争点は「住宅」と「観光」のバランス

短期貸しは旅行者の宿泊需要を受け止め、所有者に収入をもたらします。一方、住宅を一年中短期貸しへ回せば、その住宅は地元住民の長期賃貸市場から事実上外れます。

問題は全国一様ではない

短期貸しが数軒しかない郊外と、住宅のかなりの割合が旅行者向けになっている観光地では影響がまったく違います。そのため近年の政策は、地域ごとに規制強度を変える方向が目立ちます。

「ホスト同居型」と「一棟貸し」を分ける

自宅の空き部屋を貸すhome sharingは住宅ストックを奪いにくい一方、所有者が住んでいない住宅を通年で貸すunhosted STRAは長期賃貸と直接競合しやすく、規制の中心になっています。

現在のマーケット規模

全国規模を把握するうえで重要なのが、Australian Housing and Urban Research Institute(AHURI)が2026年5月に公表した全国研究です。

2024年末で17万4,558件

AHURIの研究では、オーストラリアの短期貸し掲載数は2024年12月時点で174,558件。2022年12月から2年間で10%以上増えました。

約84%がwhole-property

掲載の約84%は、ホストと同居する個室ではなく、一軒家やアパートメントなど物件全体を貸すタイプでした。市場の中心が「余った一室のシェア」だけではないことが分かります。

運営のプロ化も進んでいる

同研究によると、2023年12月のAirbnb掲載171,416件のうち、1物件だけを掲載するホストの物件は約43%。残る98,384件は18,187の運営主体が管理していました。

数字の比較には注意

民泊統計は「掲載中」「予約可能」「実際に宿泊実績あり」など集計条件が違い、同じ物件が複数サイトへ掲載される場合もあります。そのため掲載件数をそのまま「長期賃貸から失われた住宅数」と考えることはできません。

1.オーストラリア民泊の簡単な歴史

短期の別荘貸しそのものはAirbnb以前から存在していました。海沿いのholiday house、スキーリゾートの別荘、地元不動産会社が管理する週単位のvacation rentalは昔から一般的でした。

2008年:Airbnbが米国でスタート

Airbnbは2008年にサービスを本格始動し、2009年には個室だけでなくアパートメントや一軒家、vacation rentalへ対象を広げました。

2012年:オーストラリアで本格展開

Airbnb Australia Pty Limitedは2012年3月からオーストラリア法人として登録され、この頃から国内でもプラットフォーム型民泊が急速に広がりました。

2010年代後半:社会問題として注目

旅行者には便利な一方、シドニー、メルボルン、ホバート、バイロンベイなどで住宅供給、騒音、集合住宅の共用部利用をめぐる議論が強まりました。

2019年以降:各州が独自規制へ

タスマニア州のプラットフォーム報告制度、NSWの登録・Code of Conduct、西オーストラリア州の州登録制度、ビクトリア州のShort Stay Levyなど、州ごとに制度が整備されてきました。

2.なぜ民泊はここまで増えたのか

スマートフォンで予約・決済まで完結

従来のholiday rentalは地元不動産会社への問い合わせが必要でしたが、プラットフォームにより世界中から検索、予約、決済、レビュー確認までできるようになりました。

所有者側の収益性と柔軟性

都市部では長期賃貸より高い収益を狙う運営者がいる一方、地方では別荘維持費を補いながら自分でも使いたいという所有者も多いことがAHURIの聞き取り調査で示されています。

旅行スタイルの変化

家族旅行、ワーケーション、長期滞在、複数世代旅行ではキッチンや複数寝室の需要があり、ホテルとは違う市場を作りました。

イベント時の宿泊供給

ホテル客室が不足する大型イベントや観光繁忙期には、住宅ストックを一時的に宿泊市場へ出せることが民泊の強みです。

3.オーストラリアの民泊規制の基本構造

民泊規制は大きく分けると、次の4層があります。

レベル主な役割
連邦Australian Consumer Law、税制、全国住宅政策など
州・準州登録制度、行動規範、課徴金、土地利用・建築制度
自治体開発許可、用途規制、駐車、騒音、ratesなど
Strata / Owners Corporation集合住宅の共用部、短期貸し禁止・制限、迷惑行為対応

このため「Airbnbに掲載できる=法律上すべて問題ない」とは限りません。州の登録を済ませていても自治体のdevelopment approvalが必要な場合や、集合住宅のby-lawで制限される場合があります。

4.ニュー・サウス・ウェールズ州の規制

NSWはオーストラリアで比較的体系的な民泊制度を導入している州です。

STRA Register

対象となる物件はNSW GovernmentのShort-Term Rental Accommodation Registerへの登録が必要で、火災安全基準への適合も求められます。

強制Code of Conduct

ホスト、ゲスト、予約プラットフォームなどに適用される行動規範があり、騒音、脅迫的行為、共用部への迷惑、物損などを規制しています。

非ホスト型の年間日数制限

一部地域では、所有者が住んでいないnon-hosted STRAの免除扱いに年間180日の上限があります。21日以上連続する予約は日数上限の計算から除外される仕組みがあります。

バイロン・シャイアはさらに厳しい

観光客が多く住宅問題も深刻なByron Shireの大部分では、non-hosted STRAが年間60日までに制限され、観光中心部など一部の365日利用可能区域と区別されています。

5.ビクトリア州の規制

7.5%のShort Stay Levy

2025年1月1日から、原則として28日未満の対象short stayに総予約料金の7.5%のShort Stay Levyが適用されています。収入はsocial and affordable housingへ充てられ、25%はregional Victoriaに投資されます。

自宅の一時貸しには例外

所有者または賃借人のprincipal place of residenceを一時的に貸す場合など、制度上short stay accommodationから除外されるケースがあります。

Owners Corporationが短期貸しを禁止できる

2025年1月から、集合住宅のOwners Corporationは75%の特別決議により、principal place of residenceではない区画について短期貸しを禁止するruleを設定できます。

迷惑行為にはVCATが対応

過度な騒音、住民の生活妨害、共用部の損傷などに対してbreach noticeや罰金、補償、一定期間の短期貸し禁止命令につながる制度があります。

6.西オーストラリア州の規制

WAは2024年の法整備を受け、州全体の登録制度と都市計画制度を組み合わせています。

すべてのSTRAが州登録の対象

Hosted、unhostedを問わず、対象となるShort-Term Rental Accommodationは州のSTRA Registerへの登録が必要です。2025年1月以降、広告には登録番号を表示する仕組みになっています。

登録は毎年更新

2026年7月時点の登録料は初回250豪ドル、更新100豪ドルです。

パース都市圏は90泊が一つの境界

Perth metropolitan areaのunhosted STRAは、12か月で90泊以下ならdevelopment approvalが不要となる免除があります。90泊を超えて継続運営する場合は原則として自治体のdevelopment approvalが必要です。

地方部は自治体判断

Perth metropolitan area以外では、住宅事情と観光需要に応じて各local governmentがplanning approvalの要否を決められます。

7.タスマニア州の規制

タスマニア州は、全国でも早い段階から短期貸しのデータ収集を制度化した州です。

Short Stay Accommodation Act 2019

予約プラットフォームには掲載物件の一定情報を収集・表示し、四半期ごとにDirector of Building Controlへ報告する義務があります。

Planning permitが必要な場合がある

住宅をvisitor accommodationとして使う場合、物件の条件によってplanning permitやself-assessmentが必要になります。

市場データを政府が把握

州政府は2019年以降の四半期データを公表し、2025年以降はShort Stay Accommodation Dashboardでも集計を確認できるようにしています。

住宅市場との緊張が強い地域

AHURI研究では、2024年12月のHobartでwhole-property STRA掲載が長期賃貸の空室件数を36対1で上回ったとされ、住宅供給との関係が強く議論されています。

8.クイーンズランド州とその他の州・地域

クイーンズランド州

州政府の2023年レビューは中央登録制度とCode of Conductを提案しましたが、州全体の一律日数制限より地域差を重視しました。実際の規制はlocal governmentのplanning、rates、local lawsの影響が大きくなっています。

Brisbane City Councilは短期貸しに対する新しいpermit制度案を2026年に取り下げましたが、短期のpaid guest / transitory accommodationには一般住宅より高いrates区分を設けています。

南オーストラリア州

NSWやWAのような州全体の専用STRA Registerより、Planning and Design Codeと自治体の土地利用判断が中心です。物件の住所・用途によってdevelopment approvalの扱いが変わります。

ACT・ノーザンテリトリー

専用の全国共通制度ではなく、土地利用、lease条件、building、strata、自治体ルールなどを確認する形が中心です。制度は更新されるため、実際に運営する場合は所在地の最新ルール確認が必要です。

住民側から見たデメリット

長期賃貸の選択肢が減る

もともと長期賃貸に出せる住宅が一年中旅行者向けに使われると、地元で暮らす人が借りられる物件数は減ります。

住宅費への圧力

AHURI研究は、STRAが高密度に集中する地域では家賃と住宅価格を押し上げる影響を確認しています。ただし全国どこでも同じ強さで起こるわけではありません。

近隣住民が「ホテルの隣」に住む状態

毎週違う旅行者が出入りするため、騒音、深夜の出入り、ゴミの出し方、駐車、共用施設の使い方などをめぐるトラブルが起きやすくなります。

地域コミュニティーの希薄化

短期滞在者の比率が高くなると、学校、地域活動、近隣関係を支える常住人口が減るという懸念があります。

行政コスト

騒音苦情、違法運営の調査、登録確認、ゴミ・駐車対策などのコストを自治体が負担する点も問題です。

住民側から見たメリット

民泊は地域住民にデメリットだけをもたらすわけではありません。

自宅・別荘から収入を得られる

空き部屋や、自分が使っていない時期の別荘を貸すことで、住宅ローン、rates、保険、修繕費などの負担を補えます。

地方への観光消費が広がる

ホテルが少ない小さな町でも宿泊者を受け入れられ、カフェ、レストラン、スーパー、ツアー会社などへ消費が広がります。

空いている住宅を活用できる

所有者が一年の一部しか使わないholiday homeは、短期貸しによって維持費を補いながら利用率を上げられます。

一時的な住宅需要にも対応

AHURI調査では、学生、プロジェクト労働者、病院利用者、移住途中の人、災害で一時避難が必要な人など、観光以外にもSTRAが使われていることが確認されています。

住宅不足・家賃への影響

民泊論争で最も意見が割れるのが、「Airbnbが住宅危機の原因なのか」という点です。

高密度地域では影響が確認されている

2026年のAHURI研究は、短期貸しが集中する観光地では家賃・住宅価格への影響が大きいと結論付けています。HobartやNSW South Coastなどでは、長期賃貸の空室数に対してwhole-property STRAが非常に多い状況が確認されました。

全国平均だけでは見えにくい

一方、Queensland Governmentが公表したUniversity of Queenslandの2023年レビューでは、州全体で見るとshort-term rentalの家賃への影響は限定的で、住宅ストックそのものの不足が家賃上昇を説明する重要な要因とされました。

「規制すれば全部長期賃貸へ戻る」わけではない

地方のholiday homeは所有者自身も利用するため、短期貸しを禁止しても長期賃貸には出さない可能性があります。AHURIも所有者の動機を考えずに単純な規制だけを行うことの限界を指摘しています。

結論は地域ごとに違う

住宅不足が深刻で短期貸しが集中する地域では問題が大きく、住宅供給に余裕があり観光依存度が高い地域ではメリットが上回る可能性があります。

騒音・パーティー・治安・共用部の問題

住宅価格とは別に、住民が最も直接感じやすいのがamenity、つまり生活環境への影響です。

騒音・パーティー

休暇中の旅行者と翌朝仕事へ行く住民では生活時間が違います。バルコニーでの会話、音楽、深夜の出入りが継続すると大きなストレスになります。

集合住宅のセキュリティー

鍵、セキュリティーカード、エレベーター、プールなどを毎週違う宿泊者が使うことへの不安があります。

ゴミ・駐車

ゴミ収集日を知らない旅行者による分別違反や、住宅街での複数台駐車も典型的な苦情です。

規制が具体化した理由

NSWのCode of ConductやVictoriaのOwners Corporation制度が騒音、共用部妨害、損傷、迷惑行為を具体的に規制していることからも、近隣トラブルが政策上の主要テーマになっていることが分かります。

観光・地域経済へのメリット

ホテルがない地域でも泊まれる

小規模な海岸の町、ワイン産地、国立公園周辺では、民泊がなければ宿泊容量そのものが不足する地域があります。

旅行者が住宅地で消費する

宿泊者が地元スーパー、カフェ、レストランを利用することで、観光中心街だけでなく住宅地や地方にも消費が広がります。

大型イベントのピーク需要を吸収

スポーツ大会、音楽フェスティバル、年末年始などホテルが満室になる時期に、一時的に宿泊供給を増やせます。

地域住民が観光収入を得る

ホテル会社だけでなく一般住宅所有者にも観光需要から収入を得る機会が生まれる点は、sharing economyの大きな特徴です。

「家のシェア」から事業化へ

Airbnbが広がり始めた頃は「自宅の空き部屋を旅行者に貸す」というイメージが強くありました。しかし現在の市場はそれだけではありません。

whole-propertyが約84%

AHURIの全国データでは、2024年末の掲載の約84%が物件全体を貸すタイプでした。

複数物件運営が大きな比率

2023年のAirbnbデータでは、1物件だけを掲載するホスト以外が大量の掲載を管理しており、property managerや専門運営会社の存在感が増しています。

規制側も区別を始めた

WAがhostedとunhostedを分け、NSWがnon-hostedに日数制限を設けるように、政策も「自宅シェア」と「住宅を宿泊事業として使うケース」を分けて考えるようになっています。

ホテルとの競争条件・税負担の問題

ホテル業界からは、住宅を使う民泊が同じ宿泊ビジネスでありながら、土地利用、建築基準、スタッフ配置、消防、ratesなどの負担が異なることへの不公平感が指摘されてきました。

住宅と宿泊施設では規制コストが違う

ホテルは最初から商業宿泊施設として設計・承認されますが、民泊は住宅を転用するケースが多く、制度が後追いになりました。

Levies・高いratesという方向

Victoriaの7.5% Short Stay LevyやBrisbaneの短期宿泊向けrates区分は、短期貸しが住宅・インフラへ与える負担を料金面で調整する政策の例です。

各地で使われる主な規制手段

規制手段目的オーストラリアの例
登録制度物件数・所在地を把握NSW、WA
プラットフォーム報告実際の掲載・予約を把握Tasmania
年間日数制限通年の住宅転用を抑えるNSW一部地域、Byron Shire
Planning approval住宅地での商業利用を審査WA、各自治体
Levy住宅・インフラ財源を確保Victoria
Strata / OC ban集合住宅の住環境を守るNSW、Victoria
Code of Conduct騒音・迷惑行為を規制NSW
高いrates商業利用との公平化・長期賃貸誘導Brisbane

どの規制が有効なのか

AHURIの2026年研究が重視しているのは、単に「年間○日まで」と決めることより、実際に守られているか確認できる仕組みです。

まず正確なデータが必要

自治体が物件所在地、予約日数、hosted / unhostedの別を把握できなければ、日数制限を作っても取り締まりが難しくなります。

プラットフォームとのデータ連携

登録番号のない物件を掲載できなくする、予約データを行政へ報告させるなど、プラットフォーム側を規制に組み込むことが重要とされています。

観光地と住宅地を分ける

Byron Shireのように観光中心区域では365日認め、それ以外では60日に抑える方法は、地域ごとの役割を分ける考え方です。

Levyだけでは住宅は戻らない

課徴金は社会住宅やインフラ財源になりますが、収益性が十分高ければ所有者が短期貸しを続ける可能性があります。住宅供給を守るには登録、用途規制、日数制限などとの組み合わせが必要です。

今後のオーストラリア民泊はどうなる?

今後は全面禁止より、「自宅シェアは比較的自由、投資住宅の通年短期貸しは厳しく管理」という二段構えが強まる可能性があります。

登録・データ共有は広がりやすい

WAやTasmaniaの制度は行政が市場規模を把握する仕組みで、今後ほかの州でも同様の議論が続くと考えられます。

住宅危機が規制を後押し

長期賃貸の空室率が低い地域では、短期貸しを住宅政策の一部として扱う動きが強くなっています。

観光地域では民泊の役割も残る

ホテル供給が少ない地域やピーク需要が大きい地域では、短期貸しを完全に排除すると観光経済に影響します。地域別のルール設計がより重要になります。

旅行者にも関係するポイント

法規制は主にホストやプラットフォーム向けですが、旅行者にも影響があります。

登録番号の確認

WAなど登録番号表示が義務化されている地域では、正規物件か確認する一つの手掛かりになります。

急な掲載停止・予約取消し

違法運営、Owners Corporationの禁止、planning違反などが判明すると、物件が掲載停止になる可能性があります。

Levyが料金へ反映される

VictoriaではShort Stay Levyが予約料金に反映されるため、ホテルとの価格差が以前より小さくなる場合があります。

住宅地では「住民の隣に泊まっている」意識を

ホテルではなく普通の集合住宅や住宅街に泊まる場合、夜間の騒音、共用部、ゴミ、駐車には特に注意が必要です。

民泊問題を考える際の重要ポイント

オーストラリアの民泊問題は、「Airbnbが良い・悪い」という二択では整理できません。

1.地域差が非常に大きい

全国平均では小さな比率でも、Hobart、Byron Bay、NSW South Coastなど観光需要の強い地域では影響が集中します。

2.hostedとunhostedは別問題

自宅の空き部屋を貸すことと、投資住宅を年間を通して旅行者専用にすることでは住宅市場への影響が違います。

3.住宅危機の原因は民泊だけではない

新規住宅供給、人口増加、建設費、金利、土地利用規制など多数の要因があり、民泊だけで家賃上昇を説明することはできません。

4.ただし高密度地域では無視できない

最新の全国研究では、短期貸しが集中する地域で住宅価格や家賃への実質的な影響が確認されています。

5.「把握できる制度」が重要

登録、プラットフォーム報告、登録番号表示など、市場を正確に把握できる制度が規制の前提になります。

オーストラリアの民泊問題を一言でまとめると:旅行者や地域経済に便利な宿泊インフラである一方、住宅不足の地域でwhole-property型が集中すると、長期賃貸、近隣住民の生活環境、集合住宅管理に負担が出ます。そのため現在は、全面禁止よりも「登録・データ把握・地域別の日数制限・課徴金・集合住宅ルール」を組み合わせる方向へ規制が進んでいます。

オーストラリアの民泊規制・問題点に関するよくある質問(FAQ)

オーストラリアでは民泊は合法ですか?

はい。ただし全国一律の制度ではなく、州・自治体・集合住宅の規約によって登録、日数制限、planning approval、課徴金などが異なります。

オーストラリアの民泊市場はどのくらいの規模ですか?

AHURIの2026年全国研究では、2024年12月時点で174,558件の短期貸し掲載が確認され、約84%がwhole-property型でした。

民泊はオーストラリアの住宅不足の原因ですか?

原因の一つになり得ますが、全国一律ではありません。住宅供給、人口増、建設費など多くの要因があり、民泊の影響は特に観光需要の強い地域で大きくなります。

NSWでは一年中Airbnbに貸せますか?

地域と物件形態によります。non-hosted STRAに年間180日の上限がある地域があり、Byron Shireの大部分では60日上限です。

ビクトリア州の7.5% Levyとは何ですか?

2025年1月から対象short stayの総予約料金に適用されるShort Stay Levyです。収入はsocial and affordable housingへ使われます。

西オーストラリア州では登録が必要ですか?

はい。対象となるhosted・unhosted STRAは州のRegisterへの登録が必要で、広告には登録番号を表示します。

集合住宅の住民は民泊を禁止できますか?

州によります。Victoriaでは2025年からOwners Corporationが特別決議により、principal place of residenceではない区画のshort stayを禁止できる制度があります。NSWでもstrata by-lawによる制限の仕組みがあります。

民泊の住民側の最大の問題は何ですか?

地域によって違いますが、住宅供給への影響、騒音、深夜の出入り、ゴミ、駐車、共用部のセキュリティーなどが代表的です。

民泊には地域住民へのメリットもありますか?

あります。住宅所有者の収入、地方への観光消費、イベント時の宿泊供給、別荘の維持、災害時や一時滞在の住宅確保などが挙げられます。

今後オーストラリアの民泊規制は厳しくなりますか?

住宅不足が深刻な地域では強化される可能性があります。ただし観光依存度や住宅事情が地域ごとに違うため、全国一律の禁止より地域別の登録・日数制限・levyなどが中心になると考えられます。

オーストラリアの民泊規制・市場に関する参考情報

まとめ:民泊は観光政策であり、住宅政策でもある

オーストラリアの民泊は、旅行者の宿泊スタイルを変えただけでなく、住宅の使い方そのものを変えました。

全国では17万件を超える規模となり、しかもwhole-property型が大部分を占めています。そのため現在は単なる「個人の副業」ではなく、住宅政策、都市計画、観光、集合住宅管理に関わる産業として扱われています。

一方で、影響は地域によって大きく異なります。短期貸しが住宅の数%に満たない地域と、長期賃貸空室を大幅に上回る観光地を同じルールで扱うのは現実的ではありません。

今後は、hostedとunhostedを分け、正確な登録・予約データを集め、住宅不足の地域では日数や用途を制限し、観光地域では一定の供給を認めるという、より細かな制度設計が中心になっていくでしょう。

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